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第12話

私は驚き、唇を少し開けたまま言おうとしたが、凛が私の言葉を遮った。

「ショッピングモールで綺麗なネックレスを見かけたから、ついでに買ってきたよ」

彼は私が欲しいかどうかも気にせず、箱からそれを取り出し、慎重に私の首にかけた。

彼の動きはゆっくりで、注意深くて、まるで私が断るのを恐れているかのようだった。

彼が会社でテキパキと指示を出す姿を見てきたし、普段はあまり笑わない彼が、突然こんなにも慎重に振る舞うのは、少し慣れない感じがした。

しかし、彼の「ついでに」が多い。

ついでに私を病院に見舞いに来て、ついでにご飯や花を買ってくれて、今度はついでにネックレスまで買ってくれた。

「すごく綺麗ね、気に入ったわ」私はネックレスを触りながら、彼に笑顔を見せた。

彼はまだ真剣な顔をしていたので、私は彼の手を引いてベンチに座らせた。すると、彼は私の手を反対に握り返し、黒い瞳でじっと私を見つめ、小さな声で言った。「俺が言ったこと、本当かもしれないって考えたことない?」

私は少し笑顔を崩し、だんだんと暗くなっていく空を見上げながら、目も次第に暗くなっていった。

「凛、私は分かってるから、心配しないで」

少し経ってから、彼の手の甲を軽く叩き、安心させるように言った。

「一つお願いがあるんだ」牧野凛は真剣に言った。

「言ってみて」

「ネックレスを、これから捨てないでくれる?何かを思い出しても捨てないでほしいんだ」

凛は少し哀願するような口調だった。

「こんなに素敵なのに、なんで捨てるの?」

私は慌ててネックレスを手で押さえ、真剣な顔をしている牧野凛に向かって笑い、「ご飯を食べるときも、寝るときも、シャワーを浴びるときも、どこへ行くにもこれを着けて行くわ!」

その言葉を聞いて、凛の顔色は少し和らいだ。

「さあ、写真を撮ろうよ」

私は彼の腕にしがみつき、たくさんの写真を撮った。いくつかの良い写真を選んで、Instagramに投稿した。

その夜、陽翔が突然家にやってきた。

写真の件ではなく、美咲のことで来た。

「ゆい、どうしてお前はそんなに酷いんだ?わざわざ学校に行って美咲を恥をかかせたのか!ただ海に一度溺れただけだろ?お前は頭もおかしくなったのか?俺を忘れる
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